こんにちは。はりじろー(@kachilogy)です。
映画やアニメにもなっていて、原作の小説が発刊されてからは結構年数が経過していますが、今になってこちらの本を読んでみました。
いわゆる単純なスポ根モノかと思ったけど、もっと深くて広いテーマに触れていて、読後感は最高でした。
詳しく紹介したいと思います。
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「風が強く吹いている」あらすじ(ネタバレあり)
寛政大学に通う学生10人が住む竹青荘。その住人の一人、「清瀬」によって半ば強制的に竹青荘の10人で箱根駅伝に出ることを目指すことになった。
その10人は、まともに走ったことすらない漫画オタクの「王子」や、高校までは陸上をやっていたけど今やニコチン中毒者の「ニコチャン」、そして、高校時代に暴力事件を起こしてしまい、逃げるように寛政大学に入学してきた天才ランナー「走」など、個性豊かなメンバーたち。
無謀とも言える挑戦。ぶつかりあいながらも次第に成長していき、ついに箱根駅伝の出場を成し遂げる。
そして迎えた箱根駅伝当日。
それまでぶつかりあい、勝手きままに生きてきたメンバーが、どれだけ苦しくても仲間のために襷を繋いでいく。
箱根駅伝での手に汗握る展開や、人間模様、葛藤や感情のぶつかりあいが鮮やかな青春小説。
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「走るってどういうことなのか」=「生きるってどういうことなのか」
いわゆる単純なスポ根モノかと思ったけど、もっと深くて広いテーマに触れていると感じました。
「走、走るの好きか?」
「俺は知りたいんだ。走るってどういうことなのか。」
天才ランナー「走」と出会った日に、清瀬が言ったセリフです。
物語はこの二人の絆を中心に描かれていきます。
「走る」と言うセリフを「生きる」に置き換えることもできてしまうな、と感じました。
「俺たちが行きたいのは、箱根じゃない。走ることによってだけたどりつける、どこかもっと遠く、深く、美しい場所」
これも清瀬のセリフです。
物語を通じて、努力だけでは到達できない高みがあるという現実と、その高みに居る人間だからこその苦悩や孤独や悲しみが描かれています。
見どころ(読みどころ)は、竹青荘のメンバーがそれぞれ駅伝の区間を走る場面で、それぞれの過去、生い立ちを回想している描写。それぞれが孤独な走りをする中で、考えていることの描写がとても感動的です。
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結果や記録だけじゃない。大切な「何か」。
竹青荘のメンバーの言動を通じて、日本型の、旧来型の、管理型のスポーツ指導のあり方に対して、「それでいいのか?」という疑問を投げかけています。
速ければいい、勝てばいい、という考え方への警鐘。監督の言うことは絶対だ、先輩の言うことは絶対だ、という日本の部活・スポーツのあり方に対して、「そうじゃないんじゃないの?」という疑問を投げかけているんです。
清瀬や「走」、竹青荘のメンバーたちそれぞれのセリフや絆を通じて、大切な「何か」を感じとることが出来ます。それはうまく言葉にできないもの。一言で表せないもの。
ぜひ読んでみて、体感していただきたいです。
爽やかで、泥臭くて、熱い。鮮明な描写
全ての場面で、季節感や街並みなどが詳細に描写されています。小説を読みながら、眼の前にその光景が広がってくるような感覚です。箱根駅伝の大手町から芦ノ湖までのコースも、鮮やかに描写しています。
そして特に、清瀬と走の間の会話、竹青荘の面々同士の人間模様、恋愛感情などが、鮮明に描写されています。
時に爽やかに、時に泥臭く、熱っぽく。
まさに疾走するかのような一冊です。
まとめ
本書は、長男が中学生の頃に読み、次に次男が読んで、「すごく面白いから読んでみなよ」と僕に薦めてくれた本。
もし、まだ読んでいないのなら、ぜひ読んでみていただきたい一冊です。
爽やかで、泥臭くて、熱っぽい。
大切な「何か」に出会える一冊です。